waters and woods

アクアリウム5
砂を厚く敷かないアピストグラマのアクアリウム(ホイグネイ・トゥクピタ)

アクアソイルは簡単に弱酸性の軟水を作ってくれるので、アピストグラマの飼育には大変便利です。ただ砂を厚く敷くと水草を沢山植えるのならともかく魚を飼育するだけの場合、掃除などがちょっと面倒になってしまいます。また気にされている方もいらっしゃると思うのですが、ソイルの隙間にブラインシュリンプがもぐり込んで行くことがあります。これが水を汚さないとは思えません。植木鉢やストッキングにアクアソイルをまとめることで、砂を厚く敷かないアクアリウムを作ってみることにしました。水槽の設置や掃除も簡単なはずです。使用するアクアソイルの量は少ないので、水質調整効果はやや劣ると思われますが、繁殖を目指して飼育を行います。日を追って水質を測定します。

(用いた物)
45X30X30cm水槽

スポンジフィルター(ダブルブリラント)
排水部のL型パイプは外してあります。エアーはやや弱めです。

アクアソイル(アマゾニア)1.5Kg
左側、植木鉢に500g。アマゾンソードを植えてみました(肥料なし)。右側、ストッキングに包んで1kg。ミクロソリウムをくっつけてみました。石に見えなくもないです。底にはふるった小粒のソイルをうっすら撒いています。

ガラス蓋
隙間もきっちり塞いであります。

エサ
冷凍赤虫、ブラインシュリンプ
飼育水測定値(0日目は2009年2月2日)
日付 pH 導電率
(μS/cm)
総硬度
(゚dGH)
備考
2/2
(0日目)
8.0 175 約4.25 まずアクアソイルを植木鉢に500gとストッキングに1kg入れました。植木鉢の方にはアマゾンソードを植え、ストッキングにはミクロソリウムをくっつけました。それぞれを水槽に配置し、底にアクアソイルをうっすら撒きました。フィルターなどを取り付け、水道水を注げば出来上がりです。砂を厚く敷いていると水を入れる時、濁りがでないよう慎重に注ぐ必要がありますが、今回はその必要もありません。水槽の設置はとても簡単でした。アクアソイルの量も少なくて済むので経済的です。
2/5
(3日目)
7.51 141 --- ---
2/9
(1週間)
7.41 120 --- pHと導電率が少しずつ下がっています。
2/16
(2週間)
7.30 107 --- ホイグネイ・トゥクピタを1ペア導入しました。まだ弱アルカリ性ですが魚は元気です。魚を入れたことによってpHが下がることを期待します。
2/23
(3週間)
7.20 101 --- 導電率は結構下がっているのですがpHの下がりはゆっくりです。アクアソイルを沢山使用した水槽と比べればこのアクアリウムの水質調整効果はやはり劣ります。
3/3
(1ヶ月)
5.72 106 --- 飼育水の条件がかなり良くなってきました。しかしたった1週間でpHが1以上も下がりました。腑に落ちないのでひとまずpHメーターを疑ってみました。標準液を測定したところあまり誤差はありませんでした。信用してもいいみたいです。やはり水質が良くなったのかホイグネイのオスが見違えるほど美しくなってきました。アピストグラマの飼育水槽としてこのアクアリウムは全く問題ないようです。飼育するだけならエリザベサエでも大丈夫です。
3/11 6.07 113 --- ---
3/15 --- --- --- 産卵しました。アマゾンソードを植えてある植木鉢の上部の内側に産み付けてあります。
3/16 6.12 116 --- メスが卵を食べてしまいました。食卵の原因には水質が適切ではないなどのことが考えられます。
4/1
(2ヶ月)
6.16 122 --- 再び同じ場所に産卵しました。残念ながら後日また食卵しました。このメスにとっては繁殖するうえで水質が充分に適切ではないのかもしれません。
4/12 --- 123 約2 ずるい方法ではありますがメスを取りかえてみることにしました。メスの中にはどうしても卵を食べてしまいがちな個体がおります。ただしそのような個体でも本当に水質の条件を整えてあげればちゃんと子育てすることが多いです。
5/14 6.22 128 --- 産卵しました。個体は違いますが同じ場所に産卵しています。オスを取り出します。オスを取り出すタイミングですが、メスとの折り合いがよければそのまま一緒にしておいても構いません。ただ産卵後のメスとオスは色々ともめることが多いので当方では一律にオスを取り出しております。
5/22 --- --- --- 今回は稚魚が泳ぎ始めました。このアクアリウムでアピストグラマの繁殖は可能でした。ただ稚魚数はかなり少いようです。産卵数がそもそも少なかったか、途中で親が食べてしまったと思われます。いずれにしても水質が充分に適切でない場合このようなことが起こりがちです。最初のメスの食卵も含め、このアクアリウムはアピストグラマの繁殖水槽としては優れていると言えないのかもしれません。
6/8
(4ヶ月)
6.43 126 約2 産卵から約1ヶ月。稚魚達はそろそろ魚らしい姿になってきました。稚魚には孵化させたブラインシュリンプを与えています。底砂を厚く敷いていないのでブラインシュリンプが砂の中にもぐり込んでいくこともほとんどなく、これによる水の汚れも気にする必要はないようです。また今回は稚魚数が少ないのでエサの量も少なくて済んでいます。水が汚れにくいので、稚魚の育成自体は容易になります。
7/20 6.32 129 --- 産卵から約2ヶ月。稚魚達はずいぶん成長しホイグネイらしい姿となってきました。メスは一緒のままとなっていますが、通常はこの辺りで取り出すといいと思います。
8/29
(7ヶ月)
--- 137 --- ---
9/18 6.41 142 約2.25 ---
9/27
(8ヶ月)
6.15 146 --- 産卵から約4ヶ月。水槽設置から8ヶ月。ここまで全く水換えをしていませんが魚の数が少なかったので稚魚やメスの状態に問題はありません。稚魚もずいぶん大きくなっており親と同様に扱っても大丈夫です。15匹の稚魚とメスを水槽から取り出しました。
9/28 --- 157 --- 換水と掃除を行いました。水槽の水を半分バケツに抜き取り、その水でフィルターのスポンジを洗います。ガラスのコケも取り除きます。底砂に汚れが溜まることはないので掃除自体はとても簡単です。水道水を補充し終わりです。ちなみに砂を厚く敷いている水槽では、換水だけではなく定期的に砂の中の汚れも取り除かないと病気(エロモナス病)に罹りやすくなるように感じられます。この日の測定値は換水後のものです。
10/1 7.09 135 --- 換水から3日目。
10/5 7.45 124 --- 換水から1週間。pHがなかなか下がりません。このままでも飼育できると思いますが、アクアソイルを一部取り替えた方がいいかもしれません。植木鉢やストッキングにまとめてあるので取り替えは簡単です。使用するアクアソイルの量も少ないので初めからやり直してもいいと思います。アクアリウム5はこれで終了となります。
測定値には誤差があります。だいたいこのくらいといった感じです。
このアクアリウムの水質の目標はアクアソイルも少ないのでpHが6〜7、導電率が100μS/cm程度と考えています。

(撮影日2009/3/11、5週間目)
水槽の底の砂は撒くような感じで、ほぼ一層です。設置から1ヶ月以上経ち、飼育水の条件もかなり良くなりました。オスがみるみる美しくなってきました。このアクアリウムはアピストグラマの飼育水槽として全く問題ないようです。
オスがとても美しいので、後日撮影用の水槽に入れ替えて記念写真を撮りました。この個体は現在の販売魚から適当に選んだ魚です。アクアリウム5に移してから体色がどんどん美しくなりました。尾ビレの赤と黒のツインバーもバッチリです。軽くライヤーテールになっています。大きさも一回りほど大きくなり、背ビレのギザギザは2〜3倍に伸びた感じがします。実際の販売魚はこんなに色は出ておりません。販売魚の体色は販売魚のページでご確認下さい。当方の販売魚育成水槽ではオスがオスらしい特徴を充分に発揮しにくいようです。沢山の魚が同時に育成されており、個々のオスが充分なテリトリーを持てないためかもしれません。当方販売魚の最終的な仕上げはお客様のアクアリウムにて行って頂きたいと思います。
(撮影日2009/6/9)
産卵から約1ヶ月の稚魚です。そろそろ魚らしい姿になってきました。稚魚には食べ残しがでないように孵化させたブラインシュリンプを与えています。底砂を厚く敷いていないのでブラインシュリンプが隙間にもぐり込んでいくこともほとんどないようです。
(撮影日2009/7/25)
産卵から約2ヶ月、ホイグネイらしくなってきました。今回稚魚の数が少なかったので、水の汚れも少なく稚魚の育成自体は容易でした。


(まとめ)
アクアソイルの量が少ないためやはり水質調整効果はやや劣りますが、アピストグラマの飼育水槽としては全く問題ないようです。飼育するだけならエリザベサエでも大丈夫なはずです。底砂を厚く敷いていないので稚魚や親魚に与えるブラインシュリンプが砂の隙間にもぐり込んでいくこともほとんどなく、これによる水の汚れも気にしなくてよさそうです。

このアクアリウムでもアピストグラマの繁殖は可能でした。ただメスによる食卵や稚魚数の少なさなど気になる点もありました。このアクアリウムはアピストグラマの繁殖水槽として水質的に充分に適切であるとは言えないのかもしれません。今回は原水に水道水を用いましたが、例えばアクアリウム4(簡易軟水器)のような軟水を用いれば、繁殖用としても優れたアクアリウムになると思います。

アクアリウム5は繁殖水槽としては何とも言えませんが、飼育水槽としては充分でした。水槽の設置や掃除もとても簡単なので、色々と便利に使えるアクアリウムではないかと思います。



アクアリウム5を作るにあたりアクアソイルをどのくらい使用すれば水質調整の効果があるのか試してみました。

水道水を30リットル入れた45X30X30cm水槽を4本準備しました。そのうち3本にアクアソイル200g、500g、1kgを底に敷く状態で入れました。1本は基準とするためにアクアソイルは入れておりません。それぞれにブリラントフィルターを取り付けてあります。なるべく隙間ができないよう蓋をしました。魚や水草などは入っておりません。日を追ってpHと導電率(μS/cm)を測定しました。

日数 200g 500g 1kg アクアソイルなし 植木鉢に1kg
pH μS/cm pH μS/cm pH μS/cm pH μS/cm pH μS/cm
0日目 6.68 176 6.68 176 6.68 176 6.68 176 --- ---
1日目 7.82 170 7.80 170 7.79 173 8.16 176 --- ---
3日目 7.84 167 7.84 155 7.80 156 7.90 177 7.7 165
1週間 7.76 156 7.73 136 7.65 135 8.01 178 7.56 148
2週間 7.61 139 7.57 118 6.95 122 8.00 179 7.47 139
3週間 7.59 137 7.48 113 6.87 127 7.90 179 7.44 134
1ヶ月 7.66 135 7.34 110 6.93 129 8.01 180 7.31 130
2ヶ月 7.29 130 7.19 115 6.79 134 8.01 183 --- ---
アクアソイルが少ないとなかなかpHが下がりません。500g以下では2ヶ月経っても弱アルカリ性です。1kgあればまずまず水質調整の効果があるようです。200gや500gでもアクアソイルなしと比較すれば結構pHと導電率は下がっております。魚を入れて飼い込めばかなり良い飼育水になると思います。積極的に水質調整した方が飼育が簡単になりますので、多めの1kgを使って実際にアクアリウムを作ってみました。植木鉢2つにアクアソイルを500gずつ分けて45X30X30cm水槽に入れました。フィルターはダブルブリラントです。3週間目からビタエニアータを1ペア導入しました。上表一番右です。1ヶ月経っても弱アルカリ性のままです。植木鉢にまとめてしまうと水質調整の効果が出にくくなってしまうようです。アクアリウム5ではアクアソイルの量を1.5kgとしました。その内1kgは飼育水と触れやすいようにストッキングで包むことにしました。


(水質の測定について)
ここではpHと導電率の測定値を紹介しておりますが、アピストグラマを飼育する際に水質の測定が必要なわけではありません。特に自然由来の物(アクアソイルやピート、ブラックピート、落ち葉など)で飼育水を調整する場合は、測定してもしなくてもいいと思います。自然由来の物なら少々やり過ぎたとしても魚が死ぬようなことは滅多にありません。勘で調整してもたぶん大丈夫です。本当にやり過ぎると徐々に弱ってきますが、瞬間的にどうにかなってしまうことはありません。ただ水質を測定すると新しい発見があることもありますので、たまには測定してみるのも面白いと思います。pH降下剤や純水器(ROなど)を使って飼育水を調整する場合は水質測定の必要があります。

総硬度による水質の分類
0〜10゚dGH  ;軟水
10〜20゚dGH ;中硬度
20〜゚dGH   ;硬水
当方の水道水;4.25゚dGH(176μS/cm)で、軟水です。

使用測定器
pHメーター;カスタニーACT pHメーター D-21、導電率メーター;カスタニーACT 導電率メーター ES-12(いずれも堀場製作所)

水質測定試薬
セラgHテスト

戻る